専門科目(専門4領域)

4つの専門領域と横断型人材育成

「専門科目を「都市のライフスタイル」「都市のマネジメント」「都市のデザイン」「都市のしくみ」の4領域に分類し、将来の進路に適切な科目を選択できるようにしています。
コースや専攻とは異なり、科目群を横断して履修ができますので、教務や関心に応じた学習が可能です。

都市のライフスタイル

都市の社会学
都市は,「多くの人々が相互に関わりあうことによって生じる社会的な現象」です。本講義ではこのように社会学的な視点で都市を捉え,その結果浮き彫りになるさまざまな問題について議論します。「都市社会学」の体系を深く理解するというよりもむしろ,現代の都市をめぐるさまざまな「社会課題」を手掛かりに,都市という問題を「人と人との相互作用」として分析する力を身につけます。このため講義では,現代の都市をめぐる多様な問題を事例を挙げて紹介するとともに,事前レポートやディスカッションを通じて理解を深めます。これらを通じて,自ら課題を発見し解決方法を提案していくことのできる「実践的研究者」の基礎となる知識と思考習慣を身につけることを期待します。
経営戦略論
経営戦略とは企業が生存し続けるための基本方針である。企業は,市場ニーズの変化や技術進歩といった環境変化に適応し,ライバルとの市場競争に勝ち続けなければ,繁栄や成長を維持することはできない。この講義では,企業がどのような指針(経営戦略)によって持続的な競争優位を構築できるのかについて学ぶために,経営戦略の基礎的な理論から最新の理論まで解説する。合わせて,それぞれの戦略理論の事例についても学ぶ。
経営財務
経営に関わる資金の働きについて学習する科目である。経営の基本的要素はよく「ヒト,モノ,カネ」と言われ,資金に関しては非常に重要な要素であるとされている。主として資金の調達,管理,運用が対象となるが,管理の部分は会計的な分野と共通するものである。都市の開発,運営においても財務の側面は必要不可欠であり,事業の成否を左右するものである。このため,経営だけでなく都市における資金の働きにもテーマを広げ,その調達,管理,運用の仕組みについて理解し,修得することを目指す。
Urban Area Marketing
The objective of Urban area marketing is to create and providing regional value with marketing tools. Urban area marketing is also a new regional management methodology with urban branding and a new framework for EBPM(Evidence-Based Policy Making). In this lecture, students would learn basic and theoretical knowledge about urban area marketing, and cases of urban area marketing.This course is related to the College's curriculum policy 2 and diploma policy 3.
Urban Tourism
The viewpoint of internationalization is becoming indispensable for attracting tourists in Japan. Interest in tourism in overseas cities has always been high, and Japanese cities have been targeted as senders and origins. However, since the emergence of atourism nation, about 30 million foreign tourists are coming to Japan annually each year, and cities are beginning to have a market that accepts landing-based tourism. This lecture aimsto learn "Urban Tourism" that integrates city planning, attracting strategies, urban design, tourism resources, culture, etc. with the theme of "gathering people" by attracting tourists to cities. Students learn tourism from the viewpoint of attracting customers, and then learn the relationship between attracting tourists andtourism and tourism strategies in cities. If you can strategically create a historical tourism heritage, restaurants and events that can attract a lot of people, you will have a lively and lively atmosphere. The class will be promoted by actively learningthrough planning and planning of tourist attraction in the city, ripple measurement, etc. The feature of this lecture is that emphasis is placed on the viewpoints of customer attraction, history, cases, theory, and internationalization. Thinking of “tourism attracting customers”includes strategies for attracting customers, economic perspectives as a ripple effect on management and the region, and also includes fields of culture and arts. In addition, this curriculum policy corresponds to the “SpecializedSubjects for Systematically and Diversely Acquiring Expertise and Methodology in Four Areas of Urban Life”in the Faculty Curriculum Policy.
広告コミュニケーション
広告という「企業が生活者にメッセージを伝えるためのコミュニケーション」について,最新動向から歴史の振り返りまで,事例を交えながら学んでいく。また,後半には実際に広告表現を創るクリエイティブの演習も行う。
ブランド戦略
本科目は,「都市のライフスタイル」領域に属し,複眼的な方法論の獲得により,企画・業務の実践に活かす能力を活かすために習得するものである。私達の生活の中には「憧れのブランド」が存在する。また,小売店に行くと,商品が持っている機能は大差がないのに,値段が高く,値引きには応じないというブランドが存在する。企業の立場からすると,こうしたブランドは,単なる商品と比較すると,高めの利益を得ることができるため非常に魅力的である。また,「このブランド以外では,私は満足しない」と言う熱烈で,長期的なファンが存在することで,安定したビジネスを創ることができる。もちろん,こうしたブランドはモノに限らず,サービスでも,また,街や国にも存在する。本授業では,こうした強いブランドを創る考え方や方法について理論と事例を用いて学習する。
集客学
「ひとをあつめる」をテーマに街づくりや集客空間,都市デザイン,観光資源,文化などを統合した「集客学」を,学際的に学ぶことをめざす。集客を科学的に捉え,実践的に考察をすること,デザイン的な展開や仕掛けづくり等を考えていくことを目的とする。人を多く集めることのできる商業施設,飲食店,イベントを戦略的につくることができれば「にぎわい」や「活気」がうまれ,繁栄がうまれる。集客資源,集客技術,集客施設,集客マネジメントなど集客に関する基礎を学びながら学術・文化・科学技術の発展に貢献するための方策などを検討する。「集客」を考えることは「都市とは何か」,「都市のデザイン」にも関係し,集客戦略,経営や地域への波及としての経済的な視点,また文化芸術の分野も含む。また観光や経営学への応用も考えられるとともに,デザインやイメージ等の感性の部分も集客学の要素である。

都市のマネジメント

プロジェクトマネジメント
前半は,汎用的な分野でのプロジェクトマネジメントの基礎的キーワードの理解から,10の領域の主としてコミュニケーション,スケジュール,コスト,リスク,品質,デザインの各マネジメントの基礎的な内容を学ぶ。後半は,建築・都市開発分野にフォーカスする。複合都市開発を事例として,投資家,開発者,設計者,施工者,地域住民,利用者,運営者など多くのステークホルダーが様々に関わる中で,全体を見据えつつ横断的統括的に業務をリードし,社会的経済的文化的価値を創造していく「クリエイティブ・プロジェクトマネジメント」の思想・プロセス・手法について実践的に学ぶ。
住宅と不動産
日本の住宅市場は人口減少,住宅余りの現象から転換期を迎えている。新築中心の時代からリノベーションや海外展開など住宅市場も多様化してきている。そこで変化の激しい住宅市場に着目して,現状と課題,プレーヤの多様化などについて解説する。本講義では,住宅市場の全体を理解するとともに,住宅と関連ビジネスを中心に学習する。また,リノベーションなど派生してきた住宅産業ビジネスについても解説する。
都市空間の演出
既存,あるいは,新規都市開発や社会資本の再創造により生成される多様な「都市空間」を定義・分類し,空間特性,機能,都市との関係,社会的意義を検証する。そして,その空間に相応しい「演出」が,街の賑わいづくり,人の流れ創出,新しいビジネス機会の創出,文化情報発信等を喚起することを実例に即して検証・考察する。特徴的な「演出」により「都市空間」はより魅力的になり,都市の社会的経済的価値向上に繋がっていくことを学ぶ。
Urban Development Management
Considering the infrastructure of the city as the main discussion point, the "structure" of the city itself and the roles of the actors such as "public" sector and "private" sector are considered. Specifically, the roles expected and played by "public" sector and "private" sector in urban development, and the future trends will be discussed based on actual cases and historical background.Furthermore, with the trends of globalization, demographic changes and IT technology evolution, to obtain information through the media from a wide range of issues, observe the real world, and deepen awareness of the general trends of society and its relationship with cities are expected.This subject is related to Curriculum Policy 3 "Develop creativity, problem-finding andproblem-solving skills, and acquire the practical planning and realization skills to apply expertise to the society."
不動産ビジネス
不動産ビジネスは転換期を迎えている。日本では従来から,オフィス賃貸やマンション分譲がメインであったが,人口減少,少子高齢化,国際化等の環境変化によって,不動産ビジネスも多様化してきている。本講義では,不動産市場の全体を理解するとともに,不動産投資ビジネスを中心に学習する。また,リノベーション,インフラなど派生してきた不動産ビジネスについても解説する。
エリアマネジメント
成熟した社会に対応して,これまでの社会資本の整備を中心とした都市計画から,社会関係資本の構築をすすめるエリアマネジメントの重要性が高まっている。少子高齢化社会を迎えたわが国においては,都市の新たなマネジメントの手法が模索され,都市のコンパクト化もすすめられている。こうした状況において,国内の大都市中心部,地方都市中心部,住宅市街地において展開されているエリアマネジメントのメカニズムを理解し,海外の先進事例から知見を得ながら,今後,どのように展開すべきなのか課題と展望について考える。
コミュニティマネジメント
本格的な少子高齢社会に向かう現在,これからの社会にふさわしい現代的コミュニティの形成は喫緊の課題である。そのため,コミュニティの現状を分析し,適切なマネジメント計画を立案・実行するコミュニティマネジメントの必要性が高まっている。本科目では,コミュニティの基礎的な概念と現代社会におけるコミュニティの課題を理解した上で,全国で取り組まれている多様なコミュニティデザインプロジェクトの事例を学び,実際にコミュニティマネジメント計画を立案する。人と人との関わりによって生活の質を高めていくコミュニティのマネジメントは,建築や印刷物などと違い,目に見えない。それゆえ,関わりのなかで起こる価値,できごとやサービスを可視化し計画に仕上げていくための独自の手法を必要とする。本科目では,デザイン思考やサービスデザインの手法を取り入れたユーザー参加型のデザインスキルを学び,地域から企業まで,これからの社会で求められるコミュニティマネジメントの手法を身につける。

都市のデザイン

都市デザイン
都市を構成する要素は,建築をはじめとして多種多様であり従来の都市計画から都市再生へ,または,都市活用へと社会的要求が変化している。そもそも私たちが生活している都市とは何か?,都市空間とは何か?,また,それらはどのようにデザインされるのか?人の生活と密接に関係のある建築計画やデザイン,都市デザインの例から,今日までの基本的な捕らえ方を,建築家や都市計画家の思想とデザインを通じて,都市をデザインする計画手法や考え方,思想に関して学ぶ。本科目は都市計画や都市空間の演出等の科目と異なり,過去から現在,そして未来へと変わりゆく手法やデザインを体系的に捉えること,且つ,人・建築・都市・文化を総合的に理解することを目的としている。
建築空間論
建築空間を創造,提案するということは,これまでにない新たな問いを立て,それに答えるということである。複雑な様相を示す社会に対して,よりよい空間を創造し,建築が持続可能な社会に貢献するということを考えたい。これまでも多くの都市や地域でこうした空間創造が行われ,継承されてきた。我々もまたこうした人間の永い取り組みの中の一つを担うのだということも含めて,建築空間について考えたい。そして,なにより生み出された空間はそこに生きる人びとのための空間であることを前提に授業を進める。
Urban Landscape
Urban landscape is attracting attention to create sustainable built environment, and landscape design is being developed along with regional planning, urban design and architectural design. Through the class, it makes students to understand the significance of urban landscape, which contributes to deriversustainable environment, to create attractive urban spaces, and to provide rich urban lifestyles. It also gives students to discuss roles and prospects of urban landscape in Japan while gaining insights from advanced overseas cases.The course is related to the one of the Faculty’sdiploma policy, “Students have acquired a combination of social science methodologies and artistic and engineering methodologies, and haveacquired the ability to apply them to the practice of planning and business.”
Urban Environment Design
In the current situation that about 50 percent of the world's population live in urban areas, it is a key responsibility for us to adequately understand the surrounding environment as the fundamental of the livelihood space and to properly conserve it, andtohand down to the next generation. This course mainly deals with the various issues related to the urban environment and necessary approaches including the countermeasures, policies, designing, planning and management for the sake of reducing or resolving those problems from the viewpoint of the sustainable architecture and urban design for the future.
インテリアデザインと実務
身近な住まいからオフィス,公共建築,商業施設に至るまでそのインテリアには共通するデザイン要素が多い。インテリアデザインを決定する要素や手法を数多くの事例を基に学習する。また,インテリアデザインの潮流を学び,現在から将来に社会が求めるデザインを,建築計画・空間構成・空間心理・機能・設備環境・人体スケール等に連関させながら習得し,社会やクライアント,マーケットの求める快適な空間を包括的に提案できる素養を身につけることを本科目の目的とする。更にインテリアデザイナーや建築家,建築系コンサルタントが現業でどのような職能を発揮しているかを事例を通して理解し,関連資格取得とキャリアプランの具体化にも踏み込んで講義する。
建築史
古代から近世に至るまで,自然・社会・宗教・文化と関わりながら形成されてきた建築・都市の特徴を理解する。特に,技術的な専門用語をしっかりと習得し,欧米・日本の各地・各時代を比較しながら,その特徴を把握する。さらに,技術革新以降の近・現代の建築・都市について,日本を含む世界各地における課題とそれに対する建築家の取り組み,新たな創造などを概観し理解する。それによって,技術・思想がいかに発展し,伝統がどのように解釈されて現在までの建築・都市が創り上げられてきたかを,広い視野をもって考察する。
住宅計画
これまでの日本の住宅の在り方を理解し,これからの日本の住宅の在り方を考える。対象として戸建住宅と共同住宅の両方を扱い,多角的な視点から住宅を考える。最初にライフスタイルと空間の関係を理解する。比較対象として海外の事例も紹介する。シェアハウスなど新しい共同生活の在り方についても考える。次にその空間の計画の仕方を理解する。住宅全体の骨格,外観や室内に使われる素材や色彩,部分の詳細,そして家具や庭のデザインなど,さまざまな計画項目とその関連性,扱い方を把握する。新築のみならず既存ストックを活用したリフォーム・リノベーションや,住宅の施工の仕方についても取り上げる。続けて,住宅自体の取得方法,住宅に関連する法律・税制・金融など,住宅計画に影響を与える仕組みについて理解する。最後に環境対応,安全安心,都市景観など現時点で重要視されている社会的価値の視点から住宅の価値の在り方を考える。
リノベーションとコンバージョン
これからも増加する傾向にあるオフィスビルや住宅のストックの有効な再利用方法を具体的なケーススタディーを通して理解する。この授業では,リノベーションをデザイン,不動産,ビジネスモデル,コミュニティ,まちづくりなどが総合的にとらえ,まち再生事例,コミュニティと連動したモデル,不動産投資を活用した事例など,具体的なケーススタディを使って方法論を伝える。また実際に街中に現存する具体的なストックをモデルケースとしながら,それを有効再生するための手法のシミュレーションなどを行い,実践的なノウハウを学ぶ。

都市のしくみ

都市政策
この講義は,都市の暮らし,活力,魅力を対象とする公共政策について,現代の多様な事象に関する基礎知識を習得するとともに,都市問題を地域や立場の違いから多面的に理解し,それらの解決に向けた政策の組み立て方を筋道だてて考える視座を養うことを目指している。扱うテーマが毎回異なり,全体として今日的話題に幅広く触れる。
Urban Mobility
We include the angle of transportation and mobility and consider a traffic image in future cities in this lecture.Students learn various technologies and policies about the future urban transportation. Professors make surethat the students can consider traffic plan in a future city from both of a political viewpoint anda technicalviewpoint including PBL classes. In particular, a teacher of business man is invited in this lecture and studentslearn about the trend of recent years' MaaS and CaaS. This lecture is included in the range of the urban system.
ユニバーサルデザイン
近年,高齢者の増加や障がい者の増加に伴い,誰もが快適に過ごせるようなデザインを最初から行うユニバーサルデザインが注目され,世界的にもそれをスタンダードにする動きがある。この科目では,色々な身体の障がいを意識しながら,誰もが快適に使える最大公約数的なユニバーサルデザインの基礎を学ぶ。ユニバーサルデザインと一言で言っても,駅や空港などのハードのユニバーサルデザインもあれば,お店での人的サービスに代表されるソフト面でのユニバーサルデザインもあり,対象領域はかなりの多岐に亘る。それらを網羅しながらユニバーサルデザインを学び,就職後にも役立つような知識を提供する。
住まいの構法・生産・流通
現代の日本における住まいのつくり方,すなわち住宅の構法は極めて多様なものになっている。代表的なものとして,多数のストックを保持している「在来木造住宅」,通称プレハブ住宅と呼ばれている「工業化住宅」,そして鉄筋コンクリート造による集合住宅等があり,これらは20世紀後半の社会的変化や需要を背景に生み出され,淘汰されてきた。構法は時代を反映するものであり,これからも変化していく。そこで,本講では代表的な構法を対象に,生まれてきた社会背景や変化を学習し,これからの持続可能型社会における住まいのあり方について考える。
まちの防災
大規模地震や局所的集中豪雨の発生が危惧される中,災害に強いまちづくり,人づくりの推進が求められている。本講義では,災害に対する事前の備えと,発災時の緊急対応,その後の復旧・復興に至るまでの一連のプロセスを対象とし,各種災害の特徴と防災対策の枠組み,人間の心理・行動,安全・安心のまちづくり事例などについて学ぶ。自然災害だけではなく,犯罪や日常災害についても取り上げ,都市の安全性を向上させるための方策を考える。
住まいと環境
安全・健康で快適な暮らしを実践するためには,人と環境の関係や建築と環境の関係を理解する必要がある。建築空間の環境性能は,音環境,熱環境,光・視環境,空気環境に分類されるが,ここではその各々についての基礎知識を修得する。快適な住まいを作るうえで,これらの環境に配慮したデザインが不可欠であり,また地域性や住まいの構造・形態がどのように影響しているかを学び,さらにエコロジカルなデザインのための基礎知識,要素技術,その手法を修得する。
都市計画(2)
この科目は,都市計画の基礎知識をひとまず学習した皆さんを対象にしている。都市計画は,都市の環境を今よりも望ましい状態にしていこうとする積極的な意思を持った取り組みであるが,その実現手段となる法律制度には,恣意性のある行為を抑制する法令固有の原則があり,両者は相反する側面がある。そこで,都市計画・まちづくり関連の行政法規の全体像を確認するとともに,それらの背景をなす法理と,実用の場面で工夫を考えるにあたってポイントとなる知識の習得を目指す。

建築士対応科目

建築法規
国民の「生命・健康・財産の保護」と「公共の福祉の増進」を目的に定められた建築基準法を中心に,建築設計をする上で関係する主要な法文の読解や,法規間の関連性に関して解説する。ここでは,建築物を集団的に規制する集団規定と,個別の建築物に適用する単体規定の二つの基準を前半と後半に分けて取り上げる。建築基準法は,社会情勢や時代背景に影響を受けながら度々改正され,今後も変化していくと考えられる。この変化を捉え,上記の目的を実現するためにはどうすれば良いか学習する。
建築材料
建物は建築材料で構成されている。建築材料は無機材料と有機材料に分類され,材料の性質により,建物を支える構造材料や建物を保護する仕上材料として用いられる。また,建築材料はほとんどが人工材料であるが,古代より使われている木材や石材・土・漆などの天然材料もある。本科目では,構造材料や仕上材料を含む各種建築材料の歴史や特徴を理解し,建物での使われ方について学習する。
建築構造
本来,建築から構造を分離して建築は成立し得ず,完成した建築物にあっては建築と構造は一体で不可分のものである。けれども,建築の計画段階や設計段階,また施工や維持管理段階の各過程においては,構造はその工学技術体系に根ざした経験と知識に基づき,建築とは別の次元の可能性と必然性,つまり構造的な性能(安全性能,居住性能,施工性能など)が追及されることになる。そうした建築における構造の本質的な重要性,機能と社会的位置について,きちんと認識できるようになるには,力学や数学・科学などの自然科学に対する知識とともに,構造全般に対する包括的で俯瞰した知識が必須である。本科目では,さまざまな素材,構造骨組,そして構造技術全般の講義を通して,建築構造の重要性,機能と社会的位置について包括的に捉えられるようになることを目指す。また建築物に作用する様々な自然条件,特に常時の静的な荷重や非常時の動的な外乱要因等についても,それらに対する各構造形式の特徴と役割,また法規上の取り扱いについて,基本的内容を理解することを目指す。あわせて,構造骨組の模型を各自実際に製作し荷重を与えて破壊する(耐荷重を計測する)ことを通し,素材と構造形式の特徴と力学的仕組みを体験的に把握することを目指す。
構造力学(1)及び演習
建築物は人が生活したり働いたりする,いわゆる人と関わる構造物であることに特徴を有している。したがって,建築物には様々な荷重が作用するが,第一にその荷重に耐える構造安全性が求められる。構造力学は構造物の安全性の観点から,様々な荷重が構造物に作用した時に各部材がどのような力を受け,どのように変形し,そしてどのように壊れるのかを科学し,工学的な知見を得る学問である。構造力学(1)では建築を学ぶ上で必要な力学の入門として,建築物と荷重をいかにモデル化して数式表現するかを学び,特に静定構造物(釣り合い式で全ての反力を求めることができる構造物)が様々な荷重を受けた時に生じる応力(軸方向力,せん断力,曲げモーメント)を力の釣り合いから求める方法を理解し,講義と演習により基礎力を養う。
構造力学(2)及び演習
構造力学(1)でも述べたように,構造力学の基本は静定構造物の応力を求めることにある。構造力学(2)では「構造力学(1)及び演習」に引き続き,まず「力の釣り合い条件」の概念を復習する意味で,静定構造物の反力と応力の求め方を,静定梁とトラス構造物を対象として取り上げる。次に構造設計に必要となる構造力学の例として「梁の変形」と「梁の応力度」について断面の性質を用い,剛性と強度の観点から学習する。次に,釣り合い式のみでは全ての反力が求められない構造物の例として,不静定梁の応力の求め方について述べ,その他,構造設計で考慮しなければならない力学現象である振動や座屈についても演習を交えて学習する。最後に,大地震時の構造物の状態を許容する塑性力学についても基本事項を修得する。
鉄筋コンクリート構造
鉄筋コンクリート構造は木質構造や鉄骨構造と並んで代表的な構造形式である。コンクリートの圧縮強度は構造的に期待できるが,引張り強度は全く期待できないことから鉄筋を用いることになる。また,我が国の構造設計では鉄筋コンクリート構造にも靱性(粘る特性)が求められることから,圧縮側にも鉄筋を用いる。このように,コンクリートと鉄筋の複合材からなる鉄筋コンクリート構造を梁,柱および耐力壁の役割を中心に構造設計の観点から解説する。とくに,各部材の特性に基づく各種鉄筋の配筋の仕方について学ぶ。また,地震国であるわが国の鉄筋コンクリートの柱と耐力壁の役割について理解する。
環境と設備
建築計画における,人体快適,建築物における熱伝達,湿気と結露,換気と通風,室内空気質,音環境,人工照明と昼光利用について学ぶ。特に,断熱,窓・ドア性能,気密性と換気,日射取得と日射遮蔽といった建築形態が居住者快適性とエネルギー消費に与える影響について理解する。建築環境は室内と住居単位からビルディング,街,都市単位まで学問領域を広げ,近年は温暖化で代表される地球環境までを網羅するようになった。建築環境工学は,快適で健康な建築空間,効率のよい建物と設備システム及び都市環境に関わる物理現象を扱う学問である。