東京都市大学 TOKYO CITY UNIVERSITY



日本の顔、東京の顔「丸の内」の「まち育て」をしています

丸の内のエリアマネジメント 小林 重敬

小林 重敬

今、東京駅の駅前「丸の内」は、多くの人でにぎわっています。丸の内に勤務する人はもちろんですが、ショッピング、食事、まち歩きを楽しむ人、さらにイベントを楽しむ人などさまざまな目的で訪れる人々で賑わっています。
このように多くの人々が「丸の内」に訪れるようになったのは、2002年に丸ビルが、2007年に新丸ビルなどが開業し、さらに現在ではブランドショップが立ち並ぶ丸の内の背骨に当たる仲通りが整備されたことによります。

丸の内のオープンカフェ
丸の内のオープンカフェ

約20年前の「丸の内」は「たそがれ丸の内」とも言われ、活気の乏しい古いタイプの企業や銀行の本店が中心のオフィス街でした。夜になると人通りがなくなり、土日は閑散としたまちでした。その時期に大手町・丸の内・有楽町地区(大丸有地区)に所在する大部分の企業が集まって、「大丸有地区再開発計画推進協議会」(協議会)を結成し、専門家5人に「大丸有地区」の新たな長期的なまちづくりの方針を立てることが依頼されました。その専門家の一人が私です。その会議の中で、私が主張した点は2点あります。ひとつはまちづくりのインクレメンタリズムという考え方です。

当時、時代が大きな変換点にきていると考えられたので、大きな枠組みとしてのまちづくりの方向性を明確に示し、時代の変化に合わせて枠組みの中でまちづくりを変更してゆくという考え方です。もうひとつはまちづくりが、これまで「ハードなまちづくり」(「つくること」)に終始し、「ソフトなまちづくり」(「育てること」)がないがしろにされてきたので、まちを「育てること」を「つくる」段階から考えることです。
これまでのわが国のまちづくりを振り返ってみると、開発・デベロップメントに重きがおかれ、開発された後、その地域が継続的に人々に興味を持たれて、注目され続けるためには、どうすればよいのかという「育てる」視点を欠いていたように思われたからです。 これらの考え方は「丸の内」のまちづくり構想である「丸の内の新生」というレポートにまとまられ、その後の大手町・丸の内・有楽町地区のまちづくりのバイブルとして今日まで生かされています。2002年に「ソフトなまちづくり」(育てること)を担う組織として、この地区の企業の方々と一緒に「大丸有エリアマネジメント協会」(協会)を立ち上げ、その理事長に就任しました。協会と協議会は車の両輪となって、大手町・丸の内・有楽町地区のまちづくりを担っています。協会が実践しているのは「ソフトなまちづくり」です。建物建設や空間整備がハードなまちづくりであり、イベントや様々な活動がソフトなまちづくりですが、両者はお互いに連携して進められています。協会の活動内容は、緑化などの環境改善、界隈の賑わい創出するイベント、広報活動・展示活動、視察・セミナー、調査研究など多岐にわたっています。中でも重要なものはイベントです。「丸の内フラワーウイーク」、「丸の内アートアワード」、「丸の内元気文化旬間」、「CAW PARADE」、「光都東京」、国際音楽祭「ラフォルジュルネ」などがありますが、その多くは私が実行委員長を務めています。

略歴

東京大学大学院工学研究科博士課程都市工学専攻修了。工学博士。
横浜国立大学大学院教授、日本女子大学講師、規制改革委員会参与、参議院国土交通委員会客員研究員などを歴任。現在横浜国立大学特任教授(横浜国立大学建築都市スクール(Y-GSA)担当、学習院大学講師を兼任。
これまで国土交通省等の多くの審議会に参加し、都市政策、住宅政策、土地政策、国土政策などの政策づくりに関与、また東京の都市ビジョン、住宅マスタープランづくり、横浜のMM21の開発、都心部のまちづくり方針、横浜駅周辺地区大改造計画など、さらに地方都市の高松市、浜松市などの中心市街地活性化に参画。

著書:「協議型まちづくり」(学芸出版社)、「地方分権時代のまちづくり条例」(学芸出版社)、「条例による総合的まちづくり」(学芸出版社)、「欧米のまちづくり・都市計画制度」(ぎょうせい)、「エリアマネジメント」(学芸出版社)、「コンバージョン・SOHOによる地域再生」(学芸出版社)、「都市計画はどう変わるか」(学芸出版社)など。

担当科目
まちの再生、エリアマネジメント、都市計画、まちづくりの制度

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