東京都市大学 TOKYO CITY UNIVERSITY



東京マラソン ―3万人が走り、2万人が支え、226万人が応援―

都市行政の専門家 渡辺 日佐夫

渡辺 日佐夫

平成20年2月17日(日)午前9時、気象条件、晴、気温2℃、湿度46%、北北東の風0.9m/秒。3万2,468人が新宿の都庁舎前をスタートしました。もっとも、これだけの人数です、全員が走り始めるまでには20分以上かかりました。

第2回目で、はやくも国民的な行事となった東京マラソンは、何といっても、コースが、銀座、浅草など東京の名所や都心を駆け巡るという、めったに経験できないすばらしさがあります。また、オリンピック出場を狙うトップランナーと同じ42.195kmのコースを一般市民ランナーが走り、しかも制限時間が7時間で、時速6キロちょっとで走り続ければゴールできます。応援観客は226万人で、テレビの瞬間最高視聴率は24.3%を記録しました。3万人もの人たちが走る大イベントです。水48万本、バナナ6万本、アンパン2万個、りんご5千500個、おにぎり3万個、スタート地点の簡易トイレ600基などが準備され、これらが混乱無く整然と用意、サービスされました。
この大プロジェクトの準備と運営はどのように行われたのでしょうか。特に、当日は、東京マラソンの運営のために総勢2万人以上が出動しましたが、その構成メンバーは、主催者である(財)日本陸上競技連盟、東京都とともにマスコミ、スポンサー、ボランティア、地元の区、商店街、町会の人たちで、中でもボランティア1万2千人が、給水・給食・荷物受渡などに活躍しました。また、交通規制のための警察官、救護のための医師等と救急隊も着実に役割を果たしました。以上のメンバーは、専門家と素人、フルタイムとパートタイム、有償と無償、仕事と自由意思、組織参加と個人参加、など様々なタイプがありました。しかし、いわば、当日限りの寄り合い所帯です。そこで、「準備した以上のことは、本番では出来ない。」という考えで、対策を用意しました。最も心配であった心臓麻痺対策では、AED(自動体外式除細動器)を1kmごとに配置。また、目印のウエアと風船をつけて全コースと巡回しながら走るドクターランナーが90人。自転車にAEDをかついで、2人1組でコースを巡回する自転車隊18組を走らせました。これらで、発見、即、応急措置が出来るようにしました。幸い、2回のマラソンとも死者、重大事故は発生しませんでした。午後4時までに、出走者の97.3%がゴールインすることができました。
このように、東京マラソンは、行政や企業の活動とは異なる原理で準備され運営されています。しかも周到な準備のもとで、普通の市民、住民が、それぞれ普通の努力で、専門家や行政と連携協力すれば、大きな事業を達成できることを証明しました。第3回東京マラソンは平成21年3月22日に開催されます。

略歴

東京大学法学部卒。
東京都生活文化スポーツ局長を経て現職。
昭和47年に東京都に入り、港湾局の課長、部長として東京港のコンテナ埠頭の整備と船会社の誘致や土地バブル崩壊時のお台場など臨海開発に苦闘。また、政府の都市再生本部事務局次長として全国都市再生に取り組む。都選挙管理委員会事務局長として平成17年9月11日のいわゆる小泉郵政民営化総選挙を担当。都生活文化スポーツ局長として、消費者行政の改革、江戸東京博物館などの文化振興や東京マラソンなどのスポーツ施策を推進した。
専門は、地方自治、都市政策、港湾経営、都市開発。

担当科目
都市政策、まちづくりの法律、まちとインフラ、自治と行政 、文化芸術政策

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