

都市、建築、インテリア、携帯電話やTV、洗濯機やエアコンなどの生活関連の機器、鉄道や自動車などの乗り物は、私たちの生活や仕事などいろいろな活動を支えてくれている人工の装置や環境です。今では、このような装置や環境を考え、創り出すためにコンピュータがどこでも活躍しています。工学的なメカニズムや力学的な計算をするだけでなく、魅力的な形を創りだす造形的な仕事にまでコンピュータが欠かせなくなってきています。
私がコンピュータに出会ったのは1960年代の終わり。ずいぶん昔の話になりますが40年ほど前は、計算機と呼ばれ計算することが得意な機械だったので、もちろん絵なんか描けませんでした。当時大学を卒業したばかりの私は、アメリカのある雑誌に掲載されたコンピュータが描き出す自動車のグラフィックスを見て、未来はこれだ!と衝撃を受けました。早速1973年夏MIT(マサチューセッツ工科大学)へ留学し、そこで都市・建築へのコンピュータ利用の先駆け研究を目の当たりにしました。まさにデザインへのコンピュータ利用(デザインコンピューティング)の黎明期でした。
帰国してデザインのためのCADやCGシステムの研究開発の仕事に取り組み始め、都市・建築・環境デザインと情報技術の境界領域へ深く立ち入ることになりました。さまざまなシステムを開発するかたわら、それを試し検証するためにいろいろなデザインを実践してきています。
今では、コンピュータの中に仮想的な3次元の都市や建築(バーチャルワールド)を作り上げることができるようになってきています。現実の世界と同じように建物、道路、公園、樹木、山川などをつくり、自動車や鉄道を走らせ、その中を歩き回ったり、上空から眺めたり、建設や維持管理に必要な情報も取り出すことができます。このような仮想的な都市や建築を相手に、みんなは何を求めているのか、どんなものを作ればよいのか、どのように作ればよいのか、どのようにすればみんなを楽しませるのか、どうすればもっと便利になるのか、どうすれば災害から守れるのか、などいろいろな考えを試し、検討することができます。
インターネットを利用して、いつでも、どこでも、誰でも、コンピュータの中にでき上がっている都市の中を歩き回り、眺めながら、住民の立場から、専門家の立場から、いろいろな議論ができるようになるでしょう。
コンピュータの中の仮想世界は、都市・環境づくりに携わる人たちすべてにとって大変便利な思考の道具なのです。
京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了。工学博士。
大阪大学環境工学科、京都工芸繊維大学建築学科・造形工学科・デザイン経営工学科を経て現職。京都工芸繊維大学新世代オフィス研究センター特任教授、千葉工業大学大学院デザイン科学専攻講師を兼任。
これまで、CAD/CG、設計環境のデジタル化、ファシリティマネジメントの先駆的な研究と並行して、都市・景観デザイン、オフィス計画、鉄道車両デザイン、新空間事業開発などの実践的活動を展開してきている。
著書:「設計とその表現(共著)」(鹿島出版)、「デザインシミュレーション(翻訳)」(デルファイ研究所)、「ファシリティマネジメント(共著)」(丸善)など。

- デザインコンピューティング(統括)、デザインの方法、デザインマネジメント(1)、ファシリティマネジメント













































